小さめ美術館の森

臼木英之 個展 | -RIN- 黒の深遠・金の誘惑

展示作品

「-RIN- 50-1」

 

「-RIN- 40-1」

 

「-RIN- D-1」

 

「-RIN- 6-1」

 

「-RIN- 50-Ⅱ」

 

「-RIN- SYO-B」

 

解説・鑑賞後記

2017年10月にGallery銀座一丁目で開催された、臼木英之(ウスキヒデユキ)氏の絵画展です。氏は1981年に多摩美術大学 油画科を卒業し、美術教師として19年間勤務した後に美術家として独立しました。

以降、絵衣(手描き絵付け衣装)、抽象画、具象画、立体、インスタレーションなど様々な作品を制作し、東京や神奈川を中心に多数個展を開催しています。またNHKドラマ・東宝映画などに美術協力スタッフとして参加し、衣装など多くの作品を提供しています。氏は「時」をテーマとしたほの暗い、空間的な抽象画を多数制作しています。

日常の次元を超えた、目に見えないが確かに存在している世界。意識の深層に眠る原初の記憶を呼び起こし、懐かしさに心を震わせるような深遠な表現を目指して、作品制作を行っています。

展示名「-RIN-」とは、琳派(りんぱ | 江戸時代の装飾芸術の一派。尾形光琳などが代表)、また凛々しい様子を意識しています。氏の根源には琳派などに見られる、装飾と絵画の中間のような美意識があります。

今回の展示では、DNAが古から引き継いできた、生命などの根源的な記憶。また過去をさかのぼろうとする意識をテーマにした作品が出展されています。副題「黒の深遠・金の誘惑」の通り、黒を基調とした作品には果てしない空間を感じさせるような奥行きがあります。

それは宇宙空間で輝く銀河のようであり、一方で脳の奥深くで繰り広げられる神経発火のようでもあり、その膨大な情報量に、作品の前に立つと果てしない空間に置き去りにされるような感覚を覚えます。

日本的な美意識を感じさせる金色の雫は、一見すると無造作に置かれているようにも感じますが、黒の上で流れるような躍動感をもたらしていることからも、高い技術が込められていることが分かります。

これはアクリル絵の具で描かれていますが、そのままの状態だと黄色味が強く出てしまうため、青などを入れて色合いを調整し、奥行きをもたらしています。また黒も同様にべた塗りはせず、濃淡や色味に変化を加え、沈み込むような空間的な色合いを表現しています。

氏はH・R・ギーガー(デザイナー・画家 | 映画「エイリアン」の造形を行ったことで知られている)が描く、美しさと恐ろしさを融合させたような表現にも魅力を感じていると話します。下記「-RIN- 6-1」などは硬質で冷涼とした質感に、ギーガーが描くインダストリアルな雰囲気が現れているようだと感じました。

-RIN- 6-1

 

深遠を覗かせるような黒と、装飾のような金が織りなす独自の世界は、煌びやかでありながら静謐とした上品さをあわせ持っています。声高に主張することはなくとも、ただそこにあるだけで鑑賞者を取り込み、自らも気づかない心の琴線に触れてしまうような、そんな途方もない力を持った作品だと感じました。

今回の展示では黒い作品が並びましたが、去年11月に銀座一丁目ギャラリーで行われた展示では、下記のような青い作品が出展されました。

個展「INDIGO」より(Gallery 銀座一丁目 | 2016年11月17日~11月22日)

氏は抽象画を主に制作していますが、具象では女性画などの作品も発表しています。2018年4月には人形作家とのコラボレーション展示の予定もあります。どこまでも深く、果てしない領域に引き込まれてしまうような黒の表現を、ぜひ肌で感じてください。

展示情報

展示名:-RIN- 黒の深遠・金の誘惑
作家:臼木英之(Facebook
期間:2017年10月12日(木)から10月19日(木)まで

展示場所:Gallery銀座一丁目
最寄り駅:銀座一丁目

所在地:東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F

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