小さめ美術館の森|東京 現代アート最新情報

カイヒデユキ|-Horizon-

展示作品

「海軍道路」

 

「Seoul」

 

「Ivy」

 

「June」

 

「森の声」

 

「Stadium」

 

「Memories」

 

「Memories」

 

「Pier」

 

「霧が丘」

 

「Bugaksan」

 

解説・鑑賞後記

2017年11月にアートコンプレックスセンター(新宿)で開催された、カイヒデユキ氏の絵画展です。氏は1995年に第一回個展を開催し、以降各地で展示活動を行っています。美術教員として勤務するかたわら、学生向け美術指導書の執筆などを行っています。

氏は元々具象画や点描画などを制作しており、下書きとして色鉛筆の肖像画を描いていました。そのため色鉛筆作品を展示で発表し始めたのは去年からで、メインとなる展示は今回が初です。

本展では「天と地のあいだ、はかなく移ろいやすい世界」をテーマに、色鉛筆で描いた女性画を中心に約40点の作品が展示されます。

雲の中に浮かぶような柔らかな質感で描かれる女性たち。日常の一瞬を切り取ったような自然な姿でありながら、その顔には物思いに耽るような複雑な表情が浮かんでいます。いくつもの色を用いて、線を細かく重ねることによって描かれた、現実と空想が重なるような曖昧な世界。

思春期を過ごす女性たちの姿は、様々な選択肢を前に悩みを抱えているような、自らを俯瞰し周囲と比べることに怯えているような、そんな若さゆえの様々な感情が込められているように目に映ります。

指先など細部に見られる肉感的な表現は、女性らしいたおやかさを感じさせるようです。しかしその一方、若さが一瞬であるという儚さや、ほんの少しの衝撃で崩れてしまうような脆さなど、繊細な現実を突きつけられるようで、一筋縄ではいかない少女たちの世界が美しさと同時に巧みに描かれています。

背景に描かれる様々な情景(海辺・重機・植物など)は、そんなあらゆる想いが体の外に染み出し、心象風景となって浮かび上がっているようです。

さざなみや森のそよめきが響き渡るような、夢の中をゆったりと散歩するような独特な色彩表現は、色鉛筆の線を細く重ねることによって表現されています。

「Stadium」(拡大)

 

一見すると無造作に見えるような線の集まり。しかし肌や髪、様々なモチーフをリアルに際立たせる質感は、間近で見ても一切損なわれません。踊るように縱橫する線と、極めて繊細に描かれるグラデーション。これらが幾層にも重ねられることで、より奥行きのある世界観が表現されているのです。

止まることなくうつろい続ける現代、忙しない社会の片隅で思い悩む若者たち。そんな現実を改めて実感させられ、そしてなにより唯一無二の色彩表現に心を奪われるような、印象的な素晴らしい展示でした。

展示情報

展示名:-Horizon-
作家:カイヒデユキ|ウェブサイトツイッター
期間:2017年11月21日(火)~11月26日(日)

展示場所:アートコンプレックスセンター(新宿)
最寄り駅:信濃町

所在地:東京都新宿区大京町12−9

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